上図左は2019度日本の部門別二酸化炭素排出量の割合(出所 : JCCCA)、そして2030年度の電源構成(出所 : 資源エネルギー庁)となります。日本の総排出量は約11億794万トンとなっています。仮に全事業所での年間電気使用量が約35万トンの企業様の場合、0.03%という二酸化炭素排出量の割合になります。この35万トンは電気使用量に換算するとどのくらいになるのか。これは環境省HPよりCO2削減(排出係数 0.000444t-CO2/kWh)を用いて、約7.9億kWhという値が算出できます。仮に現在の購入電気代単価が15円/kWhだとすると、約118億円の電気代を払っているということが瞬時のうちに計算できます。「(目安としての値であり、絶対値ではありません。)。」
自社は一体SCOPE2での排出量がどのくらいなのか、まずは把握します。
上記のような分析を今後全ての方が身に付けていただければ、環境に対する意識が格段に向上するはずです。
しかし、現状は専門のご担当者以外は理解度が薄く、今すぐにでも改善が求められるところであります。
「 (統計資料で扱われる温暖化ガスはほとんどがCO2、二酸化炭素で表されます。)。 」
次に上図右のグラフです。2030年度の電源構成ですが、再生可能エネルギーの比率が36~38%、その中で太陽光発電の比率は何と15%、2021年の実績が約7%と言われてる現状からみると、2倍強に増やさなければならないことになります。FITという制度をご存知かと思いますが、日本にはもう太陽光を設置する適切な土地はないと言われています。ではどうするのでしょうか。
そこで再生可能エネルギーの自家消費設備投資です。
極端な話ですが、家屋や工場、倉庫などの屋根そして駐車場、敷地内遊休地といった太陽光設置の可能性がある場所に全て太陽光を設置してもこの値を満足できるかどうかといったところです。太陽光発電は気候に影響され、不安定だからビジネスに向かないなんて言ってられないのです。原発の新設が困難であり、火力発電の比率を大幅に下げなければならない日本において、私たちが唯一導入対応可能な身近な電源が太陽光発電ということになります。後10年も経てば技術革新によってペロブスカイト(フイルム状の太陽光発電装置)も量産適用され、建物全面で発電できるようになると更なる再生可能エネルギーの導入につながることは間違いありません。
太陽光発電の不安定さを補いかつ経済的なメリット、BCP対策をするうえで産業用大型蓄電池の設置も合わせてお勧めしています。上図の波形はある製造業の電気使用例ですが、太陽光は日が昇ってから沈むまでが発電時間であり、生産現場ではそれに合わせて時間の調整はできません。実際にデマンドを決めるピーク使用電力は、15~17時に多いと言われています。10~14時までの発電ゴールデンタイムでは出来るだけ買電を少なくし、余った電気は蓄電池に充電します。そして足りないときは放電で対応します。
予算がより確保できるのであれば、できるだけ多くの太陽光を屋根やソーラーカーポート・遊休地に設置し、蓄電池も複数台(最大6台連結可能な蓄電池)設置することによって、再生可能エネルギーの最大限の導入と活用による社会貢献と経済性の追求を同時実現できます。
まさにCSVを毎日当たり前に実践できることになります。
もしもの停電時には蓄電池の役割は更に増します。生産作業の効率的な整理整頓と、社員の安心・安全の確保など必要最低限のBCP対策が行えます。大切なサーバーの電気も心配することはありません。自社にはどのくらいの容量の太陽光が設置可能で、それが年間どのくらい発電してCO2をどのくらい削減できるのか。これらを分析することで、環境に対する意識の向上と事業環境の向上が格段に飛躍することは間違いありません。
現状分析が出来たら次は再生可能エネルギー自家消費の設備投資です。
温暖化ガス排出はSCOPE1~3の3つに分類され、自社が事業で排出するSCOPE1と、他社から供給された電気やガスの使用に伴うSCOPE2を自助として取り組みます。さらには企業が出す温暖化ガスの65~90%を占めるSCOPE3は、サプライチェーン(供給網)など取引先の排出分であり、これについては排出量の測定の共通言語化、つまり業界別の排出量の試算方法が確立されておらず、
ひとまず今後の課題とします。まずは自社でできることを最大に取り組みます。
まずは省エネです。
これは既にほとんどの企業で取り組んでおられると思いますが、照明のLED化や、最新の空調設備導入、生産設備の最新化といった対策となります。各企業のノウハウの塊であり、これまでの企業努力を継続されることによって更なる改善につながると思います。
弊社はその次の段階である再生可能エネルギーの導入、つまり産業用蓄電池を用いた自家消費にフォーカスしたサービスの提供を事業の柱としています。自社で使用する電気は全て自給自足するが理想形ですが、事業内容によって使用電力量は様々であり、そのような中でもできれば10~40%を自社電源で賄うをゴールとして企業の設備投資のご協力をいたします。それでも再生可能エネルギーの導入量が足りない時は、既存の電気契約を再生可能エネルギー由来に替えることによって対応します。電気代の上昇につながることになりますが、環境経営に対する必要経費として見ることが必要です。
懸念点は、限られた再生可能エネルギーを全ての企業が同時に購入はできないということです。
これは鶴田電機株式会社様の工場に実際に設置された太陽光発電設備(左)と、蓄電池を始めとした周辺設備(中)、それらの全体構成図(右)となっております。いわゆる産業用大型蓄電池を活用した自家消費設備といわれる構成です。太陽光パネル、パワコン、遠隔監視装置、蓄電池、切替盤、主幹計測器が主な製品構成となります。
自家消費で発電した電気は系統への逆潮流は基本的には出来ず(電力会社との個別協議で売電は可能)、太陽光発電設備だけだと発電量が需要を上回るときや休日の発電余剰分は全て捨ててしまう(パワコンによる出力制御)という理不尽なことが生じます。それらを防いでかつ、電気代の削減に貢献するのが産業用の大型蓄電池(159kWh)です。これまで高くて小容量(18kWh前後)の産業用蓄電池の姿を8倍強の容量にして、最大1/3以下の設置価格を実現します。これにより250kW超の太陽光設置の企業様は、イニシャルコストを11.48円/kWhといった格安の電気代にて回収できる設備投資に成功されています。「 (電気代単価は20年間、発電した電気を100%自家消費する前提で算出しております。また電気代単価は限界費用ではありません。)。 」
太陽光パネルは約30年間使用できると言われています。蓄電池も15年以上、直流を交流に変換するパワコンは12年程度と、一度設備投資を行えば、10年以上は簡易なメンテナンスのみで維持・管理が可能です。このメンテナンスをパワコンの適切な時期での交換も含め、弊社のネットワークを駆使してO&Mの実績が豊富な信頼のおけるEPC様と組み、企業の皆様方の設備投資とランニングコスト削減のお手伝いをさせていただきます。
現在の課題として高圧部材の長納期化(半年前後)と電力申請(3ヶ月)が挙げられます。部材などが全て揃った状態での工期は3ヶ月程度(1MWまで)ですので、いざ設備投資をご決断されても、工事着工から完了、稼働まで約1年間を要します。特別高圧もしくは高圧受変電設備への改造・増設工事も必要であり、各企業様全館停電日にその作業を1日通して行っています。つまり、自社の全館停電日に確実に改造・増設工事が出来るよう、約1年の工期を考慮した中での導入計画を立てる必要があります。これは全ての事業者に共通しており、企業様の最適な設備投資内容と時期を一体となって構築します。
では一体どのくらいの設備投資費用が事業規模別に必要なのか。その時比較可能な電気代単価はどうなるのか、上図にて整理しました。電気代の契約単価は電気の使用規模によって異なりますが、おおよそ13~20円/kWhに収まっているかと思われます。規模によっては経済的メリットではなく、環境やBCP対策をアピールすることで企業価値の向上が図れます。何よりも電気代は今後間違いなく上昇すると言われています。自社の投資による削減額は僅かでも、確実に環境への貢献はできています。弊社は産業用大型蓄電池を必ず1台含む事業提案をしております。太陽光発電だけでの自家消費も、365日休みなく事業を展開される大口企業様にとっては有意義ではあります。しかし、今後の再生可能エネルギーのより有効な活用を先取りしてこの機会に蓄電池込みでの自家消費のご検討をお勧めいたします。「 (投資金額及び発電量、CO2削減量はあくまでも目安であり、絶対値を保証するものではありません。また、上図の設置容量以外にも、30kW~5MWまでの導入事例もございます。詳細はお問合せ下さい。)。 」
現在の電気代単価(電気代総額÷電気使用量)と上図の電気代単価を比較していただき、少しでもメリットが出るようであれば、CSVが実現します。自社の建物が古いため、太陽光パネルの耐荷重の基準を満たせない場合、ソーラーカーポートや遊休地への野立て太陽光設置による自家消費システムの導入も可能です。あらゆる可能性の中から御社に最適な設備導入を一緒に実現します。
電気代は基本料金、使用電力量、燃料調整費、再エネ賦課金の4つの合計です。その中で使用電力量は発電媒体によってその単価が異なります。現在の日本は火力発電が約75%を占め、再生可能エネルギーの不安定な電源の調整役として大きな役割を果たしています。しかし、残念ながらCO2の排出量が多いとのことで、世界的に石炭火力発電は削減の方向です。CO2の排出量が低い天然ガスも、世界的な需要の急増で価格が上昇しております。
環境対策は電気代上昇というマイナスな影響はありますが、人類の未来を俯瞰したとき、かかるコストは必要経費として考える必要があります。
電気の無い生活は考えられず、むしろ今後ますますの電化が進み、需要は増えると言われています。自動車も電気の時代にある程度はなっていきます。発電資源に乏しい日本は水素やアンモニアの活用による技術革新で火力発電の維持が求められます。
しかし、今すぐという時間軸ではなく、10年単位での普及を前提としなければなりません。その間は各企業が独自の脱炭素経営を展開することが求められます。自助努力による環境対策を補助金やESG投資などの資金を活用して、来るべく技術革新と共に推進できれば理想的です。
環境関連の代表的なイニシアチブは左記のようなものがあります。
この中で注目すべきは次の3つです。
■ SDGs : 持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)
■ RE100 : 再エネ100% (Renewable Energy 100%)
■ TCFD : 気候関連財務情報開示タスクフォース
(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)
あらゆるところで見聞きするこれらの3つと、それぞれの詳細説明はESGやCSVを含めて検索エンジンでご自身に合った説明を参考にしていただければと思います。ところでこれらを活用して一体何をしなければならないのかということですが、弊社は次のように解釈しています。
これまでは企業価値の向上は利益の追求であり、それに伴って生じる自然環境の破壊や、公害などの人体に及ぼす影響は表に出ることは少なかった。しかし、人間の心の中には常に引っかかる何かがあり、それが2020年1月以降のコロナ禍でEUを始めとした世界各国で正体を明らかにした。その正体が温暖化ガス排出である。経済成長を優先した人類は、異常気象やウィルスによる生活様式の変化がもたらした問題に抜本的な対策を打つことを決意し、世界中が共感した。温暖化ガスの排出の原因となる石炭を始めとした火力発電の比率を限りなくゼロにし、経済活動や日常生活で生じる温暖化ガスも、誰一人として無視することなく少しでも減らしていく覚悟を決めた。そのためのルール作りを進め、実践できたことは大々的にアピールし、社会的価値の創造と、その先の経済的価値の創造も同時に推進するCSVに果敢に取り組む。
横文字ばかりで何か面倒な世の中になっていくのかといった不安はありますが、
全てにおいて個別に対応するということではなく、これからの私たち人類の日々の生活は環境を何よりも大切にして持続可能にしていくことが大事です。そのためにできる全ての企業に共通して求められる対策の一つが、再生可能エネルギーによる自家消費システムの導入であると弊社は確信しております。